まず最初に明確にしておきますが、この方面の知識は全く不十分なので、今頃になってこういうことに気づいています。
前置き §
スカイ・クロラの小説、映画、そしてイノセン・テイセスは明らかにSu-27フランカーによるプガチョフ・コブラ以後の、失速状態を前提とした機動のある飛行を扱っています。そのような意味で、紅の豚のような古い時代のプロペラ機を扱った作品とは異質です。
それは、実際にイノセン・テイセスのマニュアル・マヌーヴァでコブラやクルビットといった新しい世代の機動が提供されていることからも分かると思います。
そして、そのような新しい世代の機動は可変ベクターノズルを搭載した新世代のジェット戦闘機だけでなく、プロペラ機の世界にも波及しています。たとえば、スホーイ製のアクロバット用のプロペラ機などで達成されている事例もあります。
たとえば、WikiPediaのユルギス・カイリスより引用。
1999年ツインリンクもてぎでの演技飛行では「ユルギス・コブラ」と呼ばれた世界初のレシプロ機によるプガチョフ・コブラを成功させた。彼自身はこの技を日本での好物料理から取った「ヤキトリ」と呼んでいる。
このときの機動と思われる動画がAerobatics Motegiに掲載されています。
つまり、プロペラ機全盛期の第1次大戦~第2次大戦の時代ではなく1990年代末以降の全く新しい世代のプロペラ機の機動という新しい世界を題材にしたものがスカイ・クロラとその関連作品であり、紛れもなくイノセン・テイセスもそこに分類されるわけです。
従って、第1次大戦~第2次大戦の感覚でスカイ・クロラやイノセン・テイセスを論評する行為は全て間違っている可能性があり、どれほどもっともらしい知識を披露して批判したところで、的外れであるというリスクを持ちます。
この名前は…… §
という以上の話は前置きです。
世界初のレシプロ機によるプガチョフ・コブラを成功させたユルギス・カイリスという人物は、スカイ・クロラないしイノセン・テイセス的な世界観を象徴する人物とも言えます。彼がいなければ、これらの作品は成立しません。
……とそこで思わず気づいたこと。
それは「カイリス」という名前が「スカイリィ」にあまりに似ていること。
更にオリシナのコードネームの「カイリ」とも似ています。
まず確認を要するのは、コブラのような機動を行うには「プロペラの後流を水平尾翼に当てることで、失速中でも機体の制御を可能とする」必要がある点です。つまり、トレイラー型の機体でなければおそらくできません。
(イノセン・テイセスではプッシャーでもできてしまいますが、それはさておき)
とすれば、散香ではなくスカイリィにこそ、ユルギス・カイリスを連想させる名前が与えられていることに意味があると言えます。
お断り §
……という話を信じてはいけません。
単に思いつきを書いただけです。
補足 §
Team deepblues -エアロバティックス曲技飛行チーム-のあたりを見ておくと、具体的にイメージしやすいかも。
もう1つ補足 §
カイリスの名前の綴りはJurgis Kairysです。スカイリィはSKYLY。カイリはコミック版によればKYLIEです。ご参考まで。